「ピッコロさんにお願いがあるんですけど」
「?なんだ言ってみろ」
「私の子供を産んでくれませんか?」
常々、いきなり突拍子もないことを言いだす奴だとは思っていたが、
今回のこれはもうオレの理解の範ちゅうを優に超えていた。
だからオレは、目の前に笑顔で立っている女を見開いた目で見ているしかなかった。
My baby
ピッコロは黙ったままだった。
いや、言葉が出なかったという方が正しい。
「…ピッコロさーん?聞いてます?」
…聞こえてはいる。あぁ聞こえているとも。何せオレの耳は人間の何倍もよく聞こえるからな。
そう心の中で返事をするが、聞こえたのと理解できるのとはまた別だ。
未だかつてないほどの衝撃を脳に与えられたせいか、ピッコロの脳では
次に出すべき言葉が構成されない。
…どうすればいい。
ピッコロの顔は無意識の内に引きつっていた。
元々悪い顔つき――いや、顔色が、更に悪くなっている。
そんなピッコロを気にも留めず、事の発端になる言葉を言い放った女―――は
しょうがないな、というように人差し指をたてた。
「もう一度言いますよ?」
どうすれば―――……どうにか。そう、誰か―――
ピッコロの頭はショートする一歩手前まで追いつめられていた。
の唇が次の言葉を発そうと、ゆっくり開かれる。
「私の子供をうんんん―――?!」
「二度も言わんでいいっ!」
誰かこいつをどうにかしてくれ!!
二度も衝撃に耐える自信のないピッコロは慌てての口をふさいだ。
ふさいだまま、誰も周りに居ないかを挙動不審に確かめる。
どうやら一緒に来ていた悟飯達には聞こえていないようだ。
誰も居ないことを確認したピッコロは息がもたなくなって腕を叩いてくるを解放した。
「――ぷは。だったら返事ぐらいしてくれたって」
「何を言えと?!」
叫ぶような問いには一瞬きょとんとしたが、すぐに笑って
「名前は何が良い?とか」
「〜〜ばっ、ばかもーーーんっ!!」
今日ほどについていけない日はないと思ったピッコロであった。
それでも、ぜーぜーと乱れた息を整えながら無理矢理に思考回路を働かせる。
元神様らしく。知的で通っている自分らしく。冷静に対処しようと試みる。
まずは…理由だ。
「理由?だってピッコロさん、子供産めるでしょ?」
「理由になっとらんわ!だいたいなぜオレなんだっ」
人間の女というのは自分で産みたいものじゃないのか?!
チチが悟飯たちを産んだように。ブルマがトランクスを産んだように。
人間の……女の事などよく分からないが、そういうものなのではないのかと、
今まで人間を見てきてそう思うピッコロには「確かにそうだけど…」と続ける。
「だって、ナメック星って女が居ないんですよね?」
「…ああ。必要ないからな」
「そこですよ」
ずいっとが一歩近づく。
ピッコロはが何を言いたいのか分からなくて次の言葉を待った。
が次の瞬間、分からなかったことを……の口をふさげなかったことを激しく後悔する。
◇ ◇ ◇
「子供…事の発端はその言葉なんですか…」
「そうみたね…」
「はは…」
先ほどの騒ぎ(規制という名で省略された)に一緒に遊びに来ていた悟飯とビーデル、
神であるデンデがかけつけ、たった今収拾された。
成り行きを聞いた三人は乾いた笑いを浮かべるしかない。
「ピッコロさん。私、産まれてきた子が緑色で触覚が生えていても愛せますから」
「人間が卵から産まれてたまるか!!」
三人の存在を気にも留めず言い争っている…というか、ピッコロが一方的に
血圧を高くしているだけだが。
そんなやり取りを遠巻きに見ながら「それはそうだ」と一同頷く。
ビーデルはそんなピッコロを見て呟いた。
「だいたい、ピッコロさんも鈍い人よね」
「?何が?」
「…悟飯君?」
ここにも居たか、鈍い奴。
ビーデルは呆れたように手で頭を押さえる。
「だってそうじゃない?あんなの告白というよりプロポーズに近いわよ」
「ぷっ、プロポーズ!?」
ぇえええーさんがピッコロさんに!?…ってさんはピッコロさんの事を!?
驚きまくっている悟飯と一緒にデンデも頬を染めて、わたわたしている。
(子供が欲しいって聞いた時点で気づきなさいよ…)
やれやれと首をふり、ビーデルは自分の下腹部にそっと手をそえた。
「でも…ピッコロさん、どうなさるのでしょうか…」
「に押し切られそうな気もするけど…」
「…ピッコロさんのタキシード姿は似合わないだろうなー…」
「聞こえたぞ悟飯ーーーー!!」
「って、うわあああ!!」
魔貫光殺砲が飛んできたのは言うまでもない。
さて、ピッコロが子供を産むのか産まないのか。
そのお話はまた今度。
END
500番キリリクでピッコロ夢でした☆
柚様にささげます!
短編にすると極端に短くなってしまいました;
しかもギャグにならなかった…
いつかリベンジさせて下さい;
クリリンの恋愛感情を言い当てた悟飯は何処へ行った!(笑)
省略された騒動は、書くとあまりにも下品になったので…
読みたければ↓をどうぞ★
リクエストありがとうございました!!
++美空++ 2005/9/10
「だって、ナメック星って女が居ないんですよね?」
「…ああ。必要ないからな」
「そこですよ」
ずいっとが一歩近づく。
ピッコロはが何を言いたいのか分からなくて次の言葉を待った。
が次の瞬間、分からなかったことを……の口をふさげなかったことを激しく後悔する。
「ピッコロさん、下のブツ……あるんですか?あっても機能す―――」
「ちちちちょっとさん!昼間っから何を言ってるんですか!!」
今度は、ピッコロの怒鳴り声でかけつけた悟飯があわてての口をふさぐ。
遅れてビーデルとデンデもかけつけた。
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ってな感じの事を書こうと思ってました(笑)
すみません!こんなヤツなんです〜〜;
…本当のところ、あるんですかねぇ?(聞くな!/笑)