■ ■ 伊達 政宗 ■ ■
この時は、まだわしの右眼がそこにあって、溶け出す雪でさえ綺麗だと思え
見えないほどに近くにあった愛に無自覚だった幼い二人。
「燈花、こっちじゃ」
「梵天に…あいたい」
「見るな寄るな話しかけるな!わしはもう…誰にも会いとうないっ」
それでも時は流れ 自覚した愛に歯止めは効かない。
「小十郎、わしはお前の前では我慢などせぬ」
「命の恩人。あまり覚えてないのだけど。……ねぇ」
「欲しい物は欲しいという。あれはわしの物だとわめいてもみせる」
「小十郎さんって…まだ誰かを貰う予定ってないわよね…?」
「じゃが…欲しいと思う我が儘と、力で手に入れてしまう我が儘は…違う」
そうして知る。幸せになれない愛の形を。
「見て、小十郎さん。殿は私にああして触れるの。そう……私の物よ全部…全部」
雪割草。
ユキワリソウ
花言葉は 『優雅』 『忍耐』 そして 『悲痛』