■ ■ 直江 兼続 ■ ■
「“アオイロ”とは…どのような色なんだ?」
教えてくれないか。
その問いかけに俺は『空の色だ』としか言えず
またアイツの心をえぐった。
「おチャ?これは“水”とどう違うの?」
「見て。これ、与六は読める?」
「私だって見られるものなら見たいんだよ!皆と同じ景色を…世界を。天下を!」
なにげない物を言葉に表すのは意外にも難しく
見てみろと言えない事がもどかしい。
怒りながら泣きながら
そうして俺達は近くなる。
「ねぇ兼続…顔を見せてくれないか?」
「…私はどこかおかしいのかもしれない」
アイツが私の顔に触れる。
私もオカシイ
お前に触れたいだなんて。
色の無い花
そうして俺達は
まるで悪戯が癖になったかのように
謙信公がいない時に決まって秘め事を重ねてゆく。