■ ■ 司馬懿 ■ ■
女など、ただ煩わしいだけではないか。
「女嫌いと噂のお前にわしからの贈り物だ」
「私は女官など置かぬ。去れっ!」
「女性でなければお仕えしても宜しいのですか」
「礼など言わぬぞ。貴様が勝手にやっている事だからな」
「俺…ずっと憧れていたんです」
ぽつりと話したヤツはいつもとは違い、私の顔を見なかった。
その横顔は、男のもの。
「ね。私、役に立つと思いません?」
「ふん」
礼など言わぬ。
言ってやらぬわ馬鹿め。
永ク無情ノ遊ヲ結ビ
「……助かったぞ」
その言葉は静かに空へと消えゆく。
( 李白『月下独酌』より )